徳川末期、時の大老伊井直弼は開国政策強行のためこれに反対する攘夷派の人々に断罪の命を下し世情は騒然たるものがあった。彦根藩の藩医新納草庵の息子鶴千代は父の死後お鶴とともに江戸に出、沢村道場に学んでいた。だが菊乃との縁談を断られ自分の出生に疑いを持つようになってから、いつしか道場の親友、竹之介にすすめ
徳川末期、時の大老伊井直弼は開国政策強行のためこれに反対する攘夷派の人々に断罪の命を下し世情は騒然たるものがあった。彦根藩の藩医新納草庵の息子鶴千代は父の死後お鶴とともに江戸に出、沢村道場に学んでいた。だが菊乃との縁談を断られ自分の出生に疑いを持つようになってから、いつしか道場の親友、竹之介にすすめられるまま茶屋酒に溺れるようになった。実は、鶴千代は直弼がまだ部屋住みの頃、当時舞妓だったお鶴との間に出来た子であった。しかし直弼に傷のつくのを怖れた家老野坂のためにお鶴は実家に戻され、それから二十数年ただ鶴千代が立派な侍になることを願って生きて来たのだった。だが恋に破れた鶴千代は「武士も百姓もない新しい日本を創るのだ」と主張する竹之介を先鋒とする水戸浪士たちに次第に惹きつけられていった。そして異人館焼打ちに失敗した浪士たちに裏切者の疑いをかけられた鶴千代...
详情